お知らせ
R3年度春季離島派遣が実現!(琉球宇温基金を活用)
2022.03.30
学生の長期休暇(夏休み・春休み)を利用して離島地域へ学生を集中派遣する、当ボランティアセンターの離島派遣事業について報告します。前年度から引き続き今年度の夏季までは、新型コロナウィルス感染拡大の影響で中止となっていましたが、今年度春季、なんと1年半ぶりに、離島派遣を実施することができました!
派遣先は石垣島、宮古島、南大東村の3ヶ所、参加した学生は13名。おりしも高校受験直前の期間、離島の受験生のためにということもあって、受け入れに手を挙げて下さった居場所は、5か所にのぼりました。
派遣前の準備期間には、県・渡航先・所属大学の方針を念入りに確認し、また学生には渡航前のPCR検査、陰性証明を必須として、感染面での安全性を徹底して派遣を実施しました。
ここで、離島派遣での学生謝金に活用させていただいている琉球宇温基金について、ご紹介させていただきます。詳しくは以下をご覧ください。
また以下に、実際の離島地域での活動の様子を、学生の活動報告書をもとにご紹介いたします。(表現は原文のまま記載、一部を抜粋)
<学生の声>
居場所A(石垣島)
〇子どもたちはとても元気で人懐っこい子が多く、事前に職員の方から家庭環境等を伺 い、少し元気のない子どもたちをイメージしていた私は、その元気さに圧倒されました。 遊んでいる時間も長かったのですが自由時間の大半は、この時期に去年も開催した地区公 民館で開くファッションショーのための練習に励んでいました。このファッションショー は子どもたちがモデルとして出演し、それぞれが好きなアニメのキャラクターなどの衣装 を手作りして開催します。今年は子どもたちの要望で開催が決定したこともあり、みんな 凄く張り切って練習しているのが印象的でした。
〇居場所には様々な家庭環境の子が来ていることを改めて知った。しかし子どもたちは元気で明るく、自分の意思を持っていて、黙々とやりたいことを行えるなど短い時間ではあったが良い点を多く見つけることができ、居場所という場所でこのような子どもたちの良いところを伸ばしていけるような関わり方を今後していきたいと改めて考えることができた。
居場所B(石垣島)
〇計算は得意だけど、文章からは式を導きだせない子や、ひらがなは読めるがひらがなの羅列を単語として置き換えられないなど個性的な課題がありました。どのように教えるべきか悩みましたが、居場所の職員からアドバイスをもらいました。わからない漢字などは、漢字を教えるのではなく、国語辞典の引き方を教えることで、自分で解決できるようになることを学びました。数字がなかなか覚えられない子には、勉強という意識をさせずにトランプで神経衰弱やババ抜きをして数字を身近に感じられるように意識しました。
〇私が一番印象に残ったことは、兄弟で通っている子ども達です。はじめは声が大きくてうるさいな、という印象でした。一緒に過ごす内に、自分に気を向けるために大きな声を出すのではないかと感じました。落ち着いてほしいと考え、背中に手を当てることで少し落ち着いたところに具体的に何をしてほしいのかをゆっくり聞いて、わかりやすく説明することで理解してもらえることがわかりました。コロナ禍で触れることは推奨されませんが、人に触れることで落ち着くこともあることがわかりました。
居場所C(宮古島)
〇特に印象に残ったのは、居場所の方の子どもたちへの接し方です。子どもたちを決して否定しないことはもちろん、一人ひとりの子と向き合い、子どもの意思を大事にしているという印象を受けました。「これをやりなさい」ではなく、今日はどの教科をやるのか、予習・復習どちらをするのかを聞いていました。また、休憩も休憩時間に何をするのかも各々のペースに任せられており、自己決定を尊重する仕組みになっていると感じました。そのため、勉強と遊びのメリハリが出来ている子が多いという印象を持ちました。自分の意思が尊重されていることが実感できることは子どもたちの自己肯定感や自己効力感につながると考えます。今回の離島派遣を通して学んだことを自分なりに考え、今後のボランティア活動に活かしていきたいと思います。
〇活動3日目に、中学生のA君が「昨日先生と勉強した英語がテストに出たよー」と塾に来た瞬間に私に伝えてくれました。短い活動だったのですが、少しでも子ども達にプラスの影響を与えられたことに嬉しさを感じました。また、子ども達は「先生沖縄に帰るのはやいねー」とか自分自身の話を積極的にしてくれたので、短い活動の中でこんなにも心を開いてくれていることに喜びを感じました。私自身、将来は子どもの居場所を開設して、子ども達が自主的に来たいと思えるような環境を作りたいと考えているので今回の離島派遣はとても良い経験になりました。
居場所D(宮古島)
〇小学生の宿題の見守りをした後、けん玉、トランプなど様々な遊びをした。宿題を提出せずに怒られたと言っていたため、溜まった宿題を一緒に終わらせようと声かけをした。だんだんと減っていくプリントに喜んで、テキパキと取り組み、すぐに終わらせることができた。居場所の方からは、前は宿題をやるのもやっとだったと聞いていたため、居場所の力のすごさを感じた。そして、宿題や遊びでもすぐに諦めず、何度もトライする姿がとても良いなと感じた。成功した時には一緒に喜んで楽しい時間を過ごした。今日で最後だよと言うと悲しそうにしたり、いつもより宿題するのが楽しかったと言ってもらえて嬉しくなった。3日間を通して子ども達の笑顔をたくさん見ることができた。居場所は子どもたちにとって心地のよい場所であると強く感じた活動となった。
〇5日間の活動を通して、学校に通える子どもが当たり前ではないこと、皆と同じように勉強できる子どもが当たり前ではないことを改めて学びました。幼い兄弟が体調を崩すと学校・居場所に来られない子、ヤングケアラーとして家族の面倒を見ていて居場所で会えなかった子もいました。学校や家とは違う、役割に捉われない「居場所」が子ども達にとても必要だと感じました。
〇今回、離島派遣に参加して離島の子どもの状況や学習状況などを学ぶことができた。子ども達は一生懸命勉強に取り組んでいたが、彼らが将来本島の大学へ進学すると考えるともう少し大学の情報や本島の高校の情報があると良いと感じた。特に中学生の子達の様子から本島の高校、そして大学が身近に感じていないということが印象的であった。離島なので難しい面はあるが、本島の中学生や高校生など同世代と関わる機会があれば、本島への進学を身近に感じられるかなと考えた。
居場所E(南大東島)
〇クラスメイトだけではなく、他学年の子ども、職員やおじいちゃん、おばあちゃんなどの大人と関わりなど、人とのつながりを感じ、他の人たちに見守られていることに気付いた。活動では、学校で先生からダンスが上手だと褒められたこと、指輪や下敷きを作ってみたいと話しており、印象に残っているできごとや、やってみたいことを伝えている子どもたちがいた。今回、初めて離島で活動してみて、様々な子どもたちの姿や子どもの居場所のあたたかさを改めて感じ、子どもの居場所で共通する部分があることに気付くことができた。沖縄だけではなく、全国、世界の子どもの居場所にはどういうものがあるのか、今回挙げた共通する部分が当てはまるのかが疑問を抱いた。また、これからも目の前の子どもたちと向き合い、子どもの居場所について考えて向き合っていきたいと感じた。
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学生たちの声、いかがでしたでしょう。日ごろの活動に活かせる気付きを得、将来につながる経験ができたことを、多くの学生が実感した様子です。中には、前年度から応募していたけれど派遣が叶っていなかった学生もいて、今回念願の派遣となり、センターとしても喜びはひとしおでした。特にここ2年間のコロナ禍で、通常の学生生活もままならなかった学生たちにとって、かけがえのない時間となったのではないでしょうか。ひとえに、学生たちを温かく受け入れてくれた居場所の方々と、離島の子どもたちの存在あってのことだと感じています。本当にありがとうございました。
また、今回の離島派遣に参加した学生には、あらかじめ琉球宇温基金についてのお話をして、一人一人が宇温さんの思いを抱きながら、活動にあたりました。また、居場所の方も琉球宇温基金の趣旨にご賛同くださり写真撮影に快くご協力して下さいましたこと、あらためてお礼申し上げます。
これからも離島派遣事業を通して、宇温さんの思いを引き継いでいきたいと思います。