お知らせ
R4年度春季離島派遣を実施しました!
2023.05.16
学生の長期休暇(夏休み・春休み)を利用して離島地域へ学生を派遣する、当ボランティアセンターの離島派遣事業について報告します。令和4年度春季について、以下に、学生の活動報告の一部を抜粋してご紹介いたします。
<学生の声>
石垣島の居場所
- 離島の子どもたちと学生との交流の場は少ないと考えていたため、今回の離島派遣では自分の大学生活や進路の決め方を子どもたちに伝えたいと考えていた。自己紹介時に、今の大学の所属や4月からの就職先を話し「看護の道に興味がある子はぜひ話かけてほしい」と伝えると、「高校の理科選択はどうしたらいいか」と相談があり、他の学生ボランティアと、大学受験時の勉強時間について話す様子も見られた。短い期間ではあったが離島の子どもたちとの交流や活動を通して、居場所は子どもたちの未来をつくる重要な場だと改めて実感した。離島派遣にあたりご支援くださった皆様に恩返しができるよう、今回の経験や学びを今後の活動や、将来看護師や養護教諭として子どもたちの健やかな成長を支えるために活かしていきたい。
- 居場所の方々は皆親切で、子どもたちの接し方について話し合ったり、石垣島について教えていただきました。例えば、子どもが最低限の礼儀やルールを守らない場合は、見過ごすのではなくしっかりと伝えることが大切であると教えていただきました。また、大人として子どもたちのお手本となるようなふるまい方を学ばせていただきました。子どもたちは10人前後でみんな仲良く、みんなで一緒に遊ぶこともありました。一人一人性格も違い、勉強の理解度も違うので、一人一人に寄り添えるように努力しました。子どもたちとは鬼ごっこやドッジボールをして遊びました。子どもたちと遊ぶことでたくさんの元気をもらいました。
- 活動初日は小学2年生の女の子と二人きりになった。初対面の自分に警戒している様子で質問をしても答えてくれなかった。居場所に到着してからは二人で宿題やブランコをして過ごした。会話はほとんどなく質問してもほとんど無視されたが、一緒にブランコをして遊んでいるときの彼女の表情が初めに会った時よりも明るかったので、少しうれしかった。帰りの送迎バスでは彼女が自分の座っていた席に移動してきて話しかけに来てくれ、小学校で流行っているゲームや遊びの話をしてくれた。初対面の時はほとんど会話ができない状態だったが、帰りの送迎バスでは彼女から自主的に話しかけに来てくれたので、一日の活動で二人の心の距離感が少し近づいたことを感じた。
- ファッションショーでは、はじめ、みんな恥ずかしがる様子で仕方なく練習をしていたが、練習をこなしていくうちに子供たち同士でどのようにすれば見栄え良くなるか考えて話し合い、試行錯誤を繰り返していた。活動4日目の本番では、大勢の観客の前で堂々と自分たちの踊りを披露する生徒の姿を見て成長を感じた。また、居場所の責任者と二人で話す機会があり、自分が4日間の活動で見ることができなかった子供たちの様子や抱えている問題、ファッションショーの開催意義などを聞くことができた。自分のこれまでの活動を振り返り、まだまだ子供たちやそれを支える居場所が抱える問題は沢山あり、その解決法は子供達や場所によって変わってくるが、この現状を受け止め子供達が当たり前のように元気に生活できるような環境づくりや教育を考えなければならないと感じた。
宮古島の居場所
- 今回離島派遣で一番印象に残ったことがあります。3日目、海外からきたという兄弟がいました。日本語は少ししかわからず、家では母国語や英語で会話をしているとのことでした。姉の方は、受験するのをやめたと聞いていましたが、兄妹2人とも数学に取り組んでいました。その姉との会話の中で「先生は何歳?」「どこの大学行ってるの?」「大学で何を勉強しているの?」と聞かれ、「琉球大学で看護の勉強をしているよ。」と答えると、「私も将来看護師になりたい。だけど、日本語も上手じゃないし、大学に通うのもお金がかかるから…」と話してくれました。私は、「確かに日本語で授業することは多いし、大学行くためにお金もかかると思うけど、授業スライドに英語しか書かれていないこともあって、英語を話すことができる医師や看護師免許を持つ先生も多いから、わからないことがあったら英語で聞くことができるよ。奨学金を借りることができて、自分もそれで学費を賄っているし、普段はバイトしながら学校に行ってるよ。」と言うと、「本当に?」ととても嬉しそうでした。少しでも将来の夢のために頑張る手助けができたかなと思い、嬉しかったです。
- 教室の見学に来られていた宮古島市役所の担当者の方々にも、子どもたちのピックアップを実際にどのように行うのか、教室に支援をつなげる困難さ、支援を必要とする子どもたちの見えづらさを教えていただきました。少し伺っただけでも様々な方と連携されているにも関わらず、まだまだ連携が課題だとおっしゃっていたことが印象的で、これからのより良い仕組み作りがどのようなものになるのか、たいへん興味深く思いました。
- 離島は常に観光客であふれているため、自分の生活圏に見知らぬ人がいることに違和感を覚えることがあまりないのかもしれないと思った。その一方で、本島とは違った観光地特有の傾向や課題もあることを学んだ。島民の経済を支える観光業によって、島民の生活が苦しくなってしまうというジレンマがあるのだとわかった。以前、大学の講義で島外の著名人が宮古島に別荘を建てるケースが増え、地価が上昇していると学んだことがある。実際に現地に行ったことで、地価だけでなく日用品の購入や外食も難しくなっていると知った。この観光地特有の問題も、離島の子どもたちの貧困につながっていると私は考える。離島派遣を通して、自分の目で離島の子どもの居場所の現状を知ることができた。今回の派遣期間中、居場所の方々が本島の居場所に興味を示してくださったので、本島と離島の居場所が交流する機会があっても面白いと感じた。派遣で学んだことを、今後の学生生活や居場所での活動にいかしていきたい。
伊平屋島の居場所
- 私が小学生の時は大人数の学校であったため、他の学年の児童とサッカーを行う経験がありませんでした。しかしここの居場所では、子ども達が「俺も入れて」「一緒にやりたい」と言うと「やろうやろう」と、みんなで仲良く元気にサッカーをしている様子がありました。伊平屋島の小学校は、少人数学校だからこそ〝みんな友達″という雰囲気があるため、低学年から高学年まで学年問わずみんなで仲良く遊ぶことができ、離島・遠隔地ならではの良さであると強く感じました。そして、最後に保護者が迎えにくると子ども達は家へ帰っていきました。その際に、居場所の先生方と子ども、そして保護者で〝今日の居場所での様子″について話す姿がありました。このように、居場所の先生方が積極的に保護者と話す姿を子どもが見ることによって、子ども達も自然と保護者とコミュニュケーションをとるようになっているのだと感じました。
- 伊平屋村の子どもたちは、よく親の話をしてくれて、みんな親を誇りに思っていることを感じた。また、他のお友達の良いところをたくさん教えてくれて、みんな、お互いが大切な存在なのだろうと感じた。居場所のスタッフから子どもたち同士の喧嘩について相談をされたりして、スタッフは、とても子どもたちのことを気にしていることがわかった。この4日間、子どもたちに伊平屋のことを聞いたら、いろいろなことを教えてくれたり、木の名前に詳しかったり、島のことや自然と日々共生していることを感じて、私も伊平屋島のことを少し学ぶことができて、子どもたちとの時間も楽しく、良い経験になった。
南大東島の居場所
- 学校帰りの子どもがやってきて宿題を終わらせた後、居場所で遊ぶ。対応した子ども、来所する子どもの多くは小学1、2年生で、ルールをしっかり守っており、自分のことは自分でやり、てきぱき片付けを行えていた。センター外で会った際も、「先生こんにちは!」と声をかけてくれて、心地よかった。挨拶の重要性を再認識した。最終日には「帰ってほしくない、また一緒に遊んでほしい」といったうれしい言葉をたくさんいただき、また戻って来たくなるようなあたたかな子どもたちだった。
- ICTを活用したゲーム感覚でできることわざクイズアプリ、三つのサイコロを転がし、出た目に書かれている条件を組み合わせた計算などの楽しく学べる工夫が多く、良い刺激となった。今後の活動でも取り入れたい工夫と感じた。中学生は高校受験間近ということもあり、主に3年生と関わった。3年生は各々が学習する教科を決め、苦手な分野に取り組んでいた。45分集中15分自由時間30分集中といった時間配分でメリハリをつけており、居眠りしている子どもはいなかった。真剣に取り組んでいる姿を見て、応援したい気持ちが込みあがってきた。高校進学後の活躍を願っている。
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以上が報告の抜粋となります。学生たちはこの離島派遣を通して、地域性の違いや日ごろの活動に活かせる気付きを得、将来につながる経験をしています。
ここで、離島派遣での学生謝金に活用させていただいている琉球宇温基金について、ご紹介させていただきます。令和元年度より継続してご寄附をいただいており、お力添えに応えるべく今後も離島派遣の一層の充実をはかっていきたいと思っております。基金の経緯について、詳しくは以下の記事をお読みください。
https://www.consortium-okinawa.or.jp/kg-vc/archives/1214
(令和元年度贈呈式)
参加した学生にはあらかじめ琉球宇温基金についてのお話をして、一人一人が宇温さんの思いを抱きながら活動にあたっています。また、居場所の方々も趣旨にご賛同くださり、写真撮影に快くご協力して下さいましたことをあらためてお礼申し上げます。
これからも離島派遣事業を通して、宇温さんの思いを引き継いでいきたいと思います。